課外コラム*絵本作家になりたいあなたが、忘れてはならない大切なこと

Q. 地方在住です。上京せずに絵本作家になるには、どんな方法がありますか?

絵本の学校でも、もっとも多く寄せられるのが、この質問です。

どうすれば、絵本作家になれるのでしょう?
一般的には、次の二つの方法があると言われています。

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①コンクールで入賞する
②出版社に作品を持ちこむ
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①の場合、最優秀賞をとった1作品のみ、出版が約束される、といったことが多く(最優秀賞でも、出版にならないことがあります)、それ以外の賞での出版は、めったにありません。

②の場合、今は、たくさんの作品が持ち込まれるので、編集者に読んでもらうまでが大変。噂によると、原稿を読まずにそのままゴミ箱に直行という出版社も多いとか。

「えーっ! 結局、絵本作家になんてなれないじゃない!」

そう思っちゃいますよね。
でも、世の中にそれなりの数の絵本作家が存在している以上、「なれない」って決めつけるのはちょっと待って!

実際に絵本作家になった方、努力途中の方の実録を参考に、あなたなりの道を描いてみましょう。

まずは、絵本を3冊出版なさっている「アキさん」の登場です!

チェリー:絵本作家になられたきっかけは?
アキさん:ありとあらゆるコンクールに挑戦しました。
その時に、対策を練ったり、書いては推敲を繰り返すという訓練をしました。
チェリー:では、それらのコンクールでは、出版には至らなかったのですね。
アキさん:そうなんです。そんなとき、日本児童文芸家協会の会員になりました。
その、総会や懇親会で編集者さんと知り合いになり、作品を送付しました。
それなりに長い時間がかかりましたが、そこで認められて、
結果的に絵本の出版に至ったんです。

【ここからの学び】
・コンクールを見つけて挑戦する。ダメだったときも、それをバネに勉強を重ねる。
→転んでもただでは起きない

・編集者に会える機会を探す。出会えたら、名刺交換をして、作品送付する。
→チャンスをつかむ努力をする。つかんだら、活かす!

アキさんは、九州在住。
「地方にいても出版できる」ということをこれが証明していますね。

次は、これまた九州で絵本作家を目指している「えっちゃん」の登場です。

チェリー :絵本作家になるために、どんなことをなさってるのですか?
えっちゃん:4年間くらい、出版社の絵本コンクールに応募しています。
優秀賞等、もらったのですが、出版には至っていません。
その頃は、つてのないまま、出版社に電話や手紙を書いて、
作品を見てもらっていたんです」
チェリー :つてがなくても、作品を見てもらえたのは、
やはりえっちゃんの情熱が、伝わったからなのでしょうね。
そこから、また何か発展はありましたか?
えっちゃん:たまたま見つけた小学館の『おひさま』に応募して、最優秀大賞をもらったんですよ!
だけど、やっぱり出版はされていません。
でも、その時の担当の方が、また描く機会をくださったり、
自分から作品をもちこんだりして、活動中です。
チェリー :えっちゃんは、イラストレーションの世界では、ずいぶんご活躍なさってますね。
えっちゃん:そうですね。ありがたいことです。
ポスターだったり、お店の看板だったり、絵のご依頼はたくさんあります。

【ここからの学び】
・インターネットだけではなく、本屋さんやポスターで、コンクールを探してみる。
・最優秀大賞でも、出版されないことがある。けれど、応募することにより、その選者や編集者の目に 留まることがあるので、応募し続ける。
・常に自分がやっていることを外部に発信し続ける。そうすれば、絵本以外の仕事から、絵本に繋がる可能性が出てくる。

最後に、絵本作家の「のぶみさん」に登場していただきましょう!
のぶみさんは、「しんかんくん」シリーズの絵本をはじめ、積み上げたら、天井に届くほどの数の絵本を出版なさっているプロの絵本作家です。
そんなプロでも、毎回作品を自ら出版社に持ち込んでいるそうです。
のぶみさんに、どうやって絵本作家になったのかお聞きしたら「『暴走族、絵本作家になる』(ワニブックス)を読んでね」とのこと。

チェリーがかいつまんで、どうやって「絵本作家のぶみ」が生まれたのかお話しましょう。

①300冊の作品が出来あがってる頃に「手作り絵本大賞」に入選。当人は、これで絵本作家になれると思ったのだとか。しかし、それを出版社に持ち込んだら、「昔からの名前の売れている人のものしか出版しませんので」と言われたこともあったようです。
②次々、出版を断られる中、最後と思ってもちこんだ出版社からの出版が決まり、その作品「ぼくとなべお」はベストセラーにもなり、新宿紀伊國屋書店に置かれるまでに。
③その間も、次々絵本を出版。ベストセラーを出した頃は、テレビに出演したり、NHKの「おかあさんといっしょ」で流れる歌を作詞したりと、人気の有名人だった、のぶみさん。それなのに、絵本は、全然売れなかったのだそう。
④有名作家さんに会いに行ったり、何がいけないのか考えて吐くほどの努力もしていく中、長男のひとことがきっかけで、『しんかんくん、うちにくる』ができ、再び、大ヒットに。

1冊目のベストセラーを出してから、売れなかった期間、なんと8年。

【ここからの学び】
・一度売れっ子作家になったからといって、売れ続ける訳ではない。常に努力あるのみ。
・色々な人のアドバイスを素直に聞いてみる。
・自分のためではなく、「誰かに愛を届けるため」に書く。

ここまで読んで、『ハァ・・・私には無理かも』と思ったあなた。

人生、どんなチャンスが転がっているかわかりませんよ。

必要なのは、チャンスが舞い降りたときに、それを活かせるための「日頃の努力」と「諦めない気持ち」。
そして何より大切なのは「自分自身で自分の才能を信じる心」です。

この3つを忘れずに、絵本作家を目指しましょう!

By.チェリー(童話作家)