世界中の子どもたちを虜にしたギョウ・フジカワの世界

ギョウ・フジカワという名前を聞いたことがあるでしょうか?
おそらく、日本では名前がそれほど知られていないのですが、ディズニーにも所属したことのある実力派のイラストレーター。
温かく、優しく、丁寧なタッチの絵は、多くの子どもたちを引き付けてやみません。
今回はそんなギョウ・フジカワの魅力に迫っていきます。


(若きギョウ・フジカワ 引用:https://jp.pinterest.com/pin/307792955765478352/)

****22か国で愛された世界的な絵本作家****

ギョウ・フジカワは1908年にカリフォルニア州のバークリーに生まれました。
名前から推察できるように、日系アメリカ人。
ギョウは女性ですが、ファーストネームは中国の伝説上の皇帝・堯(ぎょう)から名付けられたのだとか。
ロサンゼルスでアートを学んだのち、一時日本で過ごし、その後ディズニー・スタジオで働きます。
ディズニーのアニメーション『ファンタジア』のプロモーションも手がけ、多くの広告、雑誌のデザインに携わりました。


(ファンタジア 引用:https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784872347722)

世界大戦中は苦労もしたようですが、1953年、『宝島』『ジキル博士とハイド氏』で有名なスティーブンソンの詩集、『子どもの詩の園』の挿絵を手掛け、それをきっかけに自分でも文章を手掛けるようになり、90歳でその生涯を閉じるまでに50冊以上の絵本を創作したのです。

彼女の作品は17か国語に翻訳され、22か国で読まれました。

 

****魅力的な鮮やかで丁寧な絵****

彼女の絵やイラストの魅力は、なんといっても鮮やかな色彩と丁寧な描写です。
わたしが読んだことのあるギョウ・フジカワの絵本は英語版の『Mother Goose』だけ。
それでも「いちばん好きな絵本作家は?」と聞かれたら、その一人として間違いなく彼女の名前を挙げることでしょう。
子どものころ、靴の家や大きなかぼちゃの絵が特にお気に入りで、じっと眺めては空想にふけっていました。

(そのわりにまったく英語が上達しなかったのが不思議でなりません)

モノクロの絵も精巧ですてきです。

 

****日本語訳の絵本も入手可能****

ギョウ・フジカワの絵本は、もちろん日本語にも翻訳されています。
岩崎書店の『こどものじかん』が手に入るほか、残念ながら絶版になってしまった作品も、一部はインターネット上で入手可能です。
集英社では、『マザーグースシリーズ』や『子どもの詩の園』も過去に出版されています。

「たとえ言葉が通じなくても、すばらしい絵は読み手の心にストーリーを伝える」
ギョウ・フジカワは、そのことに気づかせてくれました。
彼女が描き出す美しい世界へ、あなたも足を踏み入れてみませんか?

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ホウバイシ(ライター)