絵本『ぐるぐるデータのおくりもの』
一般社団法人
保健医療福祉情報システム工業会
─ JAHIS 様 ─
創立30周年記念絵本『ぐるぐるデータのおくりもの』制作
保健医療福祉分野の情報システムを支える業界団体・JAHIS様が、創立30周年記念事業として絵本の制作に取り組まれました。
「データ循環型社会」という壮大なテーマを、子どもたちの目線でやさしく伝える ── その挑戦の裏側をご紹介します。
JAHISとは
一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)は、1994年の設立以来、保健・医療・福祉分野の情報システムに関する技術の向上、品質・安全性の確保、そして標準化の推進に取り組んでこられた業界団体です。電子カルテや医療情報ネットワークなど、わたしたちの健康を「情報」の面から支えるしくみを、約380社の会員企業とともに築いてこられました。
そのJAHIS様が2024年に創立30周年を迎えられ、ビジョン浸透のひとつとして企画されたのが「絵本」の制作でした。
絵本『ぐるぐるデータのおくりもの』
「もし、あなたの健康のデータが安全に守られながら、必要なときに必要な人のもとへ届けられたら ── 」。この絵本は、そんな未来の医療のかたちを、子どもたちにやさしく語りかける物語です。
未来からやってきたロボット「メディたん」が案内役となり、わたしたちの健康を守るデータがどのようにぐるぐると循環し、やがて新しいお薬の開発や、よりよい治療につながっていくのかを、あたたかなイラストとともに描いています。
| タイトル | ぐるぐるデータのおくりもの |
|---|---|
| 企画 | 一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS) 創立30周年記念事業・絵本製作タスクフォース |
| 対象年齢 | 6歳〜 |
| テーマ | 医療データ循環型社会 |
プロジェクトの歩み
JAHIS様にとって、絵本の制作は初めての試み。「データ循環型社会」というキーワードだけを手がかりに、ゼロからの挑戦が始まりました。JAHIS内に「絵本製作タスクフォース(TF)」が設置され、わたしたち「絵本の学校」がその想いをかたちにするパートナーとしてご一緒させていただくことになりました。
- 構想・企画フェーズ
JAHIS様のTFメンバーと何度も対話を重ね、「伝えたいこと」の核を探るところからスタートしました。医療情報の専門家が日々感じている課題や希望を、どうすれば子どもたちに届く言葉に変えられるか ── 議論は熱を帯びていきました。
- プロット開発
物語の骨格となるプロットを作成し、TFメンバー全員でレビュー。「データをわけあう」ことの意味、子どもにとっての理解しやすさ、キャラクターの一人称に至るまで、一つひとつ丁寧に意見を交わしました。
- 作画家選定
複数のイラストレーターによるコンペを実施。それぞれが異なる個性で「メディたん」や医療の世界を描き出すなか、絵本の世界観にもっともふさわしい陽葵ちまさんが選ばれました。
- 制作・完成
線画から着彩へ、一枚一枚のイラストが生命を宿していく過程は、まさに圧巻。テキストとイラストの融合を繰り返し調整し、ついに一冊の絵本が完成しました。
JAHIS様にとっての絵本制作は、わたしたちにとっても、またTFメンバーにとっても、とても貴重な体験と大きな経験になりました。
完成品だけでなく、そこに至るまでの試行錯誤の跡を、広く多くの方々に知っていただけることを嬉しく思います。
絵本の作画を担当するイラストレーターの選定にあたっては、ウーマンクリエイターズカレッジ「絵本の学校」の卒業生からなるウーマンクリエイターズバンクの作家陣へコンペティションを展開、たくさんの絵本作家がコンペに参加しました。
応募者の中には、医療関係者として日々現場で働く方、自身の闘病経験から医療データの共有に深く共感された方、介護福祉士として個人情報の取り扱いに向き合ってこられた方など、さまざまなバックグラウンドをお持ちの方々がいらっしゃいました。作品の技術的な完成度だけでなく、テーマへの深い理解と共感が、ひとつひとつのエントリーから伝わってきました。
「データ循環型社会」という専門性の高いテーマを、子どもたちに届く物語に変えていく ── その過程は、JAHIS様のTFメンバーの皆様との真剣な対話の連続でした。完成した絵本だけでなく、そこに至るまでの試行錯誤のすべてが、かけがえのない財産です。」
── 松本えつを(文・編集)のコメントより
審査の結果、未来のロボット「メディたん」をはじめとするキャラクターの表現力、やわらかくも芯のあるタッチ、そして物語に寄り添う繊細な色彩で、陽葵ちまさんが選ばれました。
制作で大切にしたこと
「データ循環型社会」は、大人にとっても一言で理解しにくいコンセプトです。この絵本の制作では、いくつかのポイントに特に注意を払いました。
まず、案内役となるキャラクター「メディたん」は、あえて性別を設けない中性的なロボットとして設計されました。すべての子どもたちが自分を重ねられる存在であるように、という想いが込められています。
また、「データをわけあう」という表現ひとつをとっても、「自分のものが減ってしまうのでは?」という誤解を生まないよう、「みんなで使える」というニュアンスを丁寧に表現しました。プライバシーの保護についても、「誰だかわかっちゃう部分はかくすこともできる」という、子どもにも伝わるやさしい言葉で織り込んでいます。
さらに、この世界観が多くの医療関係者の努力の上に成り立っていることも、物語を通じて子どもたちに感じてもらえるよう工夫しました。
- 企画:JAHIS 絵本製作タスクフォース
- 絵本制作ディレクション:ウーマンクリエイターズバンク
- 編集・文:松本えつを
- 絵:陽葵ちま
JAHIS様の活動について詳しく知る
JAHIS様は、創立30周年を記念してお申し込みいただいた医療機関等へ、絵本を無料で配布されています。
また、JAHIS会誌にて絵本の制作プロセスが詳しく紹介されています。

