絵本でそっと寄り添う──生きる隙間をつくる物語

インタビュー作家

かんてん ぽんきち
絵本作家・イラストレーター。名前の由来は、四字熟語の歓天喜地 (天に歓び 地に喜ぶ) から。
大変な時こそ、喜びに目を向けられる人であるように。

友人の自死をきっかけに、働きながら夜間/土日に自死対策ボランティアスタッフとして長年活動。二児の親。


絵本を制作する際に大切にしているテーマやメッセージは何ですか?

心理学を学んだり自死遺族支援や自死対策のボランティアに従事してきた経験から、子どもたちの背中をそっとさすれるようなお話を作りたいと思っています。 去年、大変痛ましいことに子どもの自殺者数が過去最多でした。 やさしそうできびしい時代を生きる子どもたちが、生きていていいと思える隙間のような絵本になれたら嬉しく思います。

今回の出版作品について、特にこだわった点や読者に伝えたいポイントを教えてください。

一番伝えたかったのは「落ち込んでもまた戻ってこれればいい」ということ。 自分の子どもたちに伝えたいメッセージです。 あれもこれも詰め込みたくなってしまいましたがメッセージは1つだけに絞りました。 子ども向けのつもりでしたが、様々な背景をお持ちの大人の方々からも反響を頂けて、とても嬉しくありがたく思っています。

絵本制作の中で、一番やりがいを感じる瞬間はどのようなときですか?

ああでもないこうでもないとこねくり回して、思い描くような絵や文にやっと近付けた時、 自分の子どもたちに実際に読み聞かせをして「今伝わった!」と感じる時、 ようやく読者様の元に届いてありがたくも感想を頂けた時……。 他にも思いがけずやりがいを得ることもあり、大規模受注を頂けたこと、発売前重版が決定したこと、デビューイベントでお子さんや親御さんが読み聞かせを楽しんでくださったこと、また、憧れの書店さまで目立つ場所に平積みしてくださっていたこと(「届いた絵本を実際に読んで平積みにしました」と書店員さまが仰ってくださった時は本当に感動しました)、 他にもたくさん、やりがいを感じる瞬間がものすごくたくさんあります(泣) 届くんだ…….!?と実感するとやはり嬉しいです。

商業出版デビューに至るまでの道のりで、印象に残っているエピソードを教えてください。

私は在学中まるまるかけて制作した作品で応募してデビューさせていただけることになったのですが、応募前に「もっとブラッシュアップしなくていいのか?」と延々と悩んでいました。 先生が、1年かけて作ったんだから大丈夫!最優秀賞とったんだから自信持って!(在学中、絵本の企画プレゼンで賞を頂いていた)と激励してくださってやっと応募することができました。 なぜか自分の努力って忘れて見えなくなってしまう時があるので、とてもありがたかったです。 自分の思う完璧な状態ではなくてもとにかく前に進むことの大切さを教えてくださいました。 力強く背中を押して頂いて本当に感謝しています。

絵本作家を目指すうえで、絵本の学校で学んだことがどのように役立ちましたか?

全てが役立ちました……! お話の作り方はもちろん、Adobe Photoshop/Illustrator/InDesignの使い方、持ち込みの仕方まで、絵本出版に関わることを幅広く学ぶことができます。 名刺やポートフォリオ作成の課題もあり、卒展も自分達で企画・運営するので、卒業後に個展やグループ展もスムーズに行えると思います。 改めて、包括的に自立を促してくださるカリキュラムだと思います。

絵本の学校の在学中に特に印象に残っている授業や課題、イベントは何ですか?

自分を掘り下げる課題がとても多いです! なぜ自分が描くのか、誰に届けたいのか、何を表現したいのか……。 こんなに人前で自分を掘り下げてさらけ出す経験はなかなかないので、同期同士とても仲良くなり、卒業式は本当に寂しかったです。 もう一年やりたいという人も多いくらい、励まし合いながら成長できる環境でした。 卒展で実際に卒業制作(絵本)を目の前で読んでいただける体験も、同期と一緒にそわそわしていちいち「わぁ……!」ってなっていました^^

絵本の学校の環境や仲間との関わりが、あなたの絵本制作に与えた影響について教えてください。

学んで終わり、卒業して終わりではなく、その後も活動しようとする人にたくさんのチャンスをひらいてくださる環境だと思います。 出版にあたり、実際に手を動かそうとするとどうすればいいのかわからなくなる点が多々ありましたが、都度先生に聞いたり、動画を後から見返して勉強し直すことができました。 同期とのつながりももちろん心強いですし、実は今年から期をまたがない自由参加の形で「新年抱負会」というものを始めさせていただきました。新年の抱負を宣言して応援しあいっこするという単純なものですが、活躍する先輩方との関わりからもたくさん刺激を頂いています。 何かやりたいと言うとすぐやらせてくれる環境でありがたいです!

絵本の学校での学びを経て、ご自身の中で「変わった」と感じる点はありますか?

絵本がもっともっと大好きになりました。 また、卒業後3ヶ月でデビューできたのは間違いなく絵本の学校のおかげです。 (よほど運が良くなければ実際にはデビューできないのではないかと思っていました。入学前の自分に教えたら目を丸くすると思います!) 悩みながらも一歩また一歩と踏み出す同期や先輩方を見て、自分もがんばりたいと自然とつられるし、以前より前向きで明るくすぐ行動できるようになったと思います。

あなたが絵本作家を目指す方に伝えたいメッセージやアドバイスを教えてください。

頭の中で思い描いていても実際に作ろうとするとうまくいかなかったり、やろうと思ってもできなくて自分はなんてだめなんだと思ってしまったり、何もかもがいやになってくる時もあるかと思いますが、「そこからが本番だ!」みたいな、逆境を楽しむ気持ちでぜひ乗り越えていただきたいです……!!(自戒も込めて)

どのような人に絵本作家という夢に挑戦してほしいと思いますか?

子育てがあるし、介護があるし、と自分のやりたいことが後回しになってしまう人にも、絵本の学校はひらけた環境です。 私自身、仕事に育児にてんてこまいでしたが「通学できなくても全てオンラインで卒業できる」「リアルタイムで参加できなくても後日動画視聴できる」という点で入学を決めることができました。 先生方も事務のみなさまも本当に親身になってくださるので、卒業にあたっての心配ごとなどにも寄り添い配慮してくださると思います。 ぜひ飛び込んでみてほしいです。

おこころてちょう

  • 発売日 ‏ : ‎ 2024/12/13
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 24ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4824400546
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4824400543
  • 対象読者年齢 ‏ : ‎ 3 歳以上
  • 寸法 ‏ : ‎ 0.7 x 18.2 x 25.7 cm

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POSTED BY : wcc_master