初めての絵本づくりと私。

ひらく曼荼羅

初めまして、絵本の学校、第2期生のにじ種えりです。

先日、絵本の入稿を終えました。
終わってみて、正直な感想は「実感がない」です。

不思議なもんですね、この1年間、絵本をつくることに心を注いできたのに、目標を達成したという感覚がないのです。
企画から自分で考えてそれを形にするために絵を描いたり文章を書いたりデータをつくったり……
たくさんたくさんの作業をしてきたけれど、まだできあがった絵本をこの手に取るまでは、自分がつくったんだという実感が湧かないみたいです。
ひょっとすると、生徒であるという楽しい時間を終わりたくなくて現実逃避しているのかも知れませんけど。

私は14年前に結婚・出産してから退職せざるをえず、復帰をすることも頭の片隅にはありつつも、子どもの可愛さや周囲の3歳児神話みたいなものに負けて、専業主婦として長年過ごしてきました。
「子育てがひと段落ついたら働きたい」と思って資格を取ったりもしましたが、それって今考えたら言い訳なんですね。
「子育てがひと段落ついたら」っていつのことなんでしょう?
ブランクが空けば空くほど、できる仕事も減り、自信もなくなっていきます。

3人目を出産した後、私は決めました。
「もう子どもを言い訳にしない」と。
外出できるようになったら、赤ちゃん連れでアロマの資格を取りに行ったり、アートを習いに行ったりしました。
そんな中、一番はまったのがパステルアート。
「この楽しさは絶対、人に伝えたい!」と強く思うようになり、週末旦那に子どもを預けてインストラクターの資格を取りました。

認定証をもらってすぐに、自宅を使って教室を始めることにしました。
起業することに何の知識もなく、まだまだ考えが甘かった私。
生徒がうまく集まるはずがありません。
イベントで出店しても、楽しいけれど収入はほぼなく、自分がすり減っていくような感じでした。

そして1年前、ふと立ち止まったのです。
私、このままでいいのかな? 私は講師として何を伝えていきたいのかな?
絵を描くことにはコンプレックスがあり下手くそ過ぎる。
そんな私がパステルアートの講師なんて務まるの?

もう1度、1から絵の勉強をするか……そのためには学校へ行く? 通信?
それとも少し見方を変えてアートセラピーの勉強をしようかな?
そんなグラグラな想いの中、ふと思い出したのは何人かに言われた「絵本をつくってみたら?」という言葉。
そして「絵本の学校」で検索したら、素敵なHPと出会ったのです。

直感でした。スケジュールを見たときに、ここの学校には私のしたいことがぎゅっと詰まっていると思ったのです。
1年間でこれだけのことを学んで身につくのなら、やってみたい!
しかも、小さい子どもがいる女性になんて優しいの~❤

始まったら、ますます確信を得ていくのです。
今まで出したことなくて出す価値もないと思っていた私の奥底にあった想いを出してみたら、みんなに認めてもらえた。
ここでは出してもいいんだ、なんて幸せなんだろう。
表現することってなんて楽しいんだろう。
想いを形にしていくこと、これこそが私がしたかったことなんだ。
そんな瞬間を何度も感じることができました。

いいことばかりではありません。もちろん厳しい時もあります。
それでも真剣に私のことを考えてくれているからこその先生の言葉がとてもあたたかく感じて、受け入れていくことができました。

絵本をつくることは、自分と向き合う作業でした。
中にある想いを確認しながら、引っ張り出しながら苦手な絵にもOKを出しながら。
苦手なこともあるけれど、得意なこともわかっていきます。
そして、一緒にがんばる同期のみんなの存在がとても頼もしく、ないものは補い合って、ひとりじゃないんだよと身をもって教えてもらいました。

1年間の事を語りだすと止まりませんが、始まりがあれば終わりがあるんですね。
でも、生徒という立場は卒業してしまうかもしれないけれど、これからは私の好きな道をまっすぐ歩いていきたいと思っています。
道しるべは絵本の学校で学んだ記憶。迷ったら思い出そう。

まだまだ続くよ! 卒展があるからね!!

↓↓↓

「絵本ののぞき穴」展
〜女性絵本作家たちがつくる12の世界〜

2016/9/3[土]、4[日] 、10[土]、 11[日]
13:00〜19:00(11日のみ、17:00まで)

「絵本ののぞき穴」展
<特設サイト> http://wcc2nd.wix.com/ehonnonozokiana