絵が得意じゃなくても、絵本作家になれる?
「絵本作家になりたいけど、絵に自信がないんです」
これは、わたしたちが何百回と聞いてきた言葉です。
体験授業、個別説明会、出張イベント……
そのたびに、ためらうように、でもどこか切実に、
多くの方が口にする“第一声”です。
「絵はずっと苦手で……」
「美術の成績、2だったんですよ(笑)」
「子どもに読み聞かせしてて、自分でも描けたらいいなとは思うんですけど……」
わたしは、そんな声を聞くたびに、静かに思うのです。
「それ、もう“始まってる”じゃないか」と。
“うまく描けない”という不安の奥にあるもの
「絵本作家」という肩書きには、不思議な魔力があります。
プロっぽくて、クリエイティブで、どこか“選ばれた人”のものに見える。
そのぶん、ハードルも高く感じてしまうのかもしれません。
「才能が必要なんじゃないか」
「子どもの頃から絵が得意な人だけがなれる世界なんじゃないか」
そんな思い込みが、いつのまにか、自分を遠ざけてしまう。
でも、それって本当でしょうか?
わたしたちは、これまでにたくさんの卒業生と出会ってきました。
絵が描ける人もいれば、そうでない人もいました。
アート系の出身者もいれば、まったく無関係の職業から来た人もいました。
けれど、ある共通点があったのです。
それは、「届けたい物語があること」。
うまい絵を描けるかどうかではなく、
「この言葉を、誰かに届けたい」と願う気持ちがあるかどうか。
WCCで教えているのは「技術」だけではありません
WCCの授業で扱うのは、Adobeや構成、レイアウトなどの実践的な技術を含む絵本づくりにおける全工程です。
でも、それ以上に大切にしているのは、こんな問いかけです。
🔴 「なぜこの物語を描こうと思ったのか?」
🔴 「どんな子に届けたいと思っているのか?」
🔴 「この絵は、本当に“伝わる絵”になっているか?」
絵のうまさより、意図の深さ。
スキルより、メッセージの純度。
たとえば、線がぎこちなくても、色が混ざっていても、
その絵に“本気で誰かに伝えたい気持ち”が込められていれば、
読み手にはちゃんと届くのです。
それは、読み聞かせをしてくれたお母さんの声や、
子どもが描いた、世界一ゆがんだ「おうちの絵」が、
なぜか涙が出そうになるくらい愛しいのと、同じこと。
「うまく描けなくても、誰かに伝わる絵」がある
ある受講生が、こんなことを話してくれました。
「わたしの絵、上手じゃないんです。でも、先生が『この子の絵、いいですね』って言ってくれた日から、自分の絵が“道具”に変わった気がしました」
その人は、最初は絵に自信がなくて、授業でも提出が遅れがちでした。
でもある日、ふと描いたキャラクターが、子どもたちの反応を呼んだのです。
「かわいい!」「これ好き!」
誰かのそんなひとことが、「描いていいんだ」と思えるきっかけになった。
つまり、絵が“自信のなさ”を乗り越える鍵になったのです。
あなたの中にある“伝えたい何か”を育てていく
絵本づくりは、「描く」ことから始めなくても大丈夫です。
「伝えたいことを見つける」ところからで、じゅうぶん始められる。
あなたの言葉を届けるための絵は、あとから育てていけばいい。
WCCは、まさにそのための場所です。
「描けない」から始める絵本作家の道もある。
そしてそれは、ちゃんと「デビュー」につながる道です。
「好き」「伝えたい」「絵本にしたい」
その最初の感情さえあれば、あなたにも絶対、描ける日が来ます。
最後に。これは魔法の言葉ではなく、現実の話です
「絵本作家になりたい」
そう思ったとき、まっさきに浮かぶのが「でも……」という声かもしれません。
でも、その「でも」の中にこそ、あなたのスタート地点がある。
“得意じゃない”からこそ、見えるものがある。
“自信がない”からこそ、描ける物語がある。
あなたのことばと、まだ見ぬ読者をつなぐ橋として、
絵は、きっとちゃんと寄り添ってくれるはずです。