物語が書けないあなたへ
――起承転結に悩むすべての人へ
「物語が書けません」
「絵本をつくりたいけど、ストーリーが浮かびません」
「起承転結って言われても、どう考えていいかわからなくて……」
WCCの受講相談では、こうした声をたくさんいただきます。
でも、まず安心してください。
WCCでは、“書けない状態”から始めた人がほとんどです。
そしてその人たちが、「自分にしか書けない1冊」にたどりついていきます。
「起承転結」は、“型”ではなく、“流れ”だった
学校で教わる「起承転結」って、どうしてあんなにむずかしく感じるのでしょう。
起でつかんで、承でふくらませて、転でひっくり返して、結でまとめる――
それはまるで「うまいこと言えたら合格」みたいな印象を与えがちです。
でも絵本における「起承転結」は、
読者の“感情の流れ”をつくるための道しるべだと、WCCでは考えます。
たとえばこんなふうに捉えてみてください:
🔴 起(き):その子の「いつも」の世界(当たり前)
🔴 承(しょう):ある日起きた「ちょっとした違和感」
🔴 転(てん):その違和感が「気持ちの変化」を引き起こす
🔴 結(けつ):最後にその子が「なにかに気づく」あるいは「気づかぬまま終わる」
つまり「事件」や「どんでん返し」が必要なのではなく、
“心のうごき”が起承転結になっていれば、それでじゅうぶんなんです。
例:とある受講生の構成メモより
主人公:おしゃべりが得意なネコの子ども
起:みんなに話しかけるのが大好き
承:ある日、無口なともだちに出会う
転:いくら話しかけても、返事がない。なんだかモヤモヤ
結:その子の絵を見て、ことばがなくても伝えられるって気づく
この構成には、派手な事件も感動的な展開もありません。
でも、「伝えるとはなにか?」というテーマがじんわり伝わってきますよね。
構成のうまさ=感情のなめらかさ。
そう思えば、少しハードルが下がるのではないでしょうか。
書けないときは、「順番」から入ってみる
物語が書けないとき、WCCではこんな“設計順”をおすすめしています。
①「伝えたいこと」を一文で書く
例:「まわりに合わせすぎて疲れてる子に、“そのままでいいよ”って言いたい」
②「主人公の変化」を考える
例:「最初はみんなに合わせてがんばってる → 最後はひとりの時間を大切にできる」
③ 変化を4つの場面に分けてみる
起:「みんなに合わせてる毎日」
承:「なんだか疲れてきた」
転:「ひとりでいる時間が、ちょっと心地よい」
結:「自分のペースでもいいんだって、思えた」
こうして「変化の軸」が通っただけで、物語の骨組みができてしまうんです。
それでも書けないときは、“自分の物語”を振り返ってみて
起承転結に悩むときほど、WCCではこんな質問を投げかけます:
🔴 子どもの頃のあなたは、どんなことに傷ついていましたか?
🔴 最近「これは描きたい」と思った瞬間は、どんなとき?
🔴 あなたが描いたキャラクターに、“自分”はまぎれていませんか?
じつは、多くの絵本の種は「自分の記憶の中」にあります。
書こうとするから書けない。
でも、思い出してみようとすると、書けるようになる。
あなたの“書けなさ”には、理由がある
書けないのは、なにもないからじゃない。
大切にしすぎて、言葉にできないだけ。
でもそれは、裏返せば、本当に伝えたいことがある証拠です。
WCCでは、構成をゼロから学び、絵本として形にしていく道があります。
一緒に整理していけば、あなたにしか書けない物語は必ず見つかります。
最後に:あなたの“書けなかった日々”も、物語になる
書けなかった日々も、悩んでいた時間も、
きっといつか、だれかを励ます物語になる。
あなたが今感じている“つまづき”は、
きっと、未来の読者にとっての“救いの描写”になるかもしれません。
物語は、遠くからやってくるものじゃなくて、
あなたの中にずっとあったことに、ある日気づくものなのです。
📖 起承転結づくりワーク
〜“物語が書けない”と思っているあなたへ〜
このワークは、「うまく書こう」としなくて大丈夫です。
あなたの中にある、ちいさな気持ちの変化を思い出して、
ゆっくりと書き出してみましょう。
🧭 STEP1|あなたの物語の“芯”をさがす
まずは、今いちばん「伝えたいこと」「心に残っていること」を見つけましょう。
Q1. 最近、心が動いたできごとはありますか?
(うれしかった/くやしかった/泣きそうになった、など)
👉 ___________________________
Q2. そのできごとを通して、「こう思った」「こう感じた」という言葉はありますか?
👉 ___________________________
Q3. その気持ちを、だれに届けたいですか?(子ども? 昔の自分? 特定の誰か?)
👉 ___________________________
🏗 STEP2|4つの場面で“気持ちの流れ”をつくる
次は、その気持ちを「起承転結」の流れに当てはめてみます。
“事件”や“展開”がなくてもOK。
あなたの感情のうごきを、順番に追っていくだけで、立派な物語になります。
✨ 起(き)|いつものわたし
物語のはじまり。
あなた(主人公)が、まだ「変化する前」の様子を書いてみましょう。
👉 わたしは___________________________
👉 いつも___________________________
🌿 承(しょう)|すこしだけ、ゆらぐ
いつもの日々に、「ちょっとした違和感」や「いつもと違う気持ち」があらわれる場面です。
👉 ある日___________________________
👉 なんだか___________________________
🔁 転(てん)|こころが動いた
気づき、出会い、ぶつかり、沈黙……。
なんでもかまいません。心がぐっと動いた瞬間を書いてみましょう。
👉 わたしは___________________________
👉 ○○のひとことで、_______________________
🌅 結(けつ)|そして、いま
気持ちの着地点です。
変わったことがあっても、なくても大丈夫。
“ふとした気づき”が、絵本のラストをつくります。
👉 それでも、いまは_______________________
👉 わたしは、こう思っています:__________________
📝 おつかれさまでした
これで、あなただけの「起承転結のたね」ができました。
すぐに絵本にする必要はありません。
でも、これこそが、物語の芯になる“あなただけの体温”です。
ふと書きたくなったとき、
このメモを、もう一度開いてみてください。