くじけそうになったとき読みたい名作絵本『ぐるんぱのようちえん』

1965年に発効されて以来、もう50年以上も愛され続けているロングセラー『ぐるんぱのようちえん』。
多くの人がいちどは読んだことがあるのではないかと思います。

 

作者の西内みなみさんと画家の堀内誠一さん

西内さんの文は50年前のものとは思えないほど心地よいリズム感です。
普遍的とはこういうことなのかもしれません。
堀内さんの絵はとても優しくて、明るくて、元気をもらえるような絵です。
とくに最後の幼稚園を描いた見開きは大好きで、「こんな幼稚園があったらいいのに」と思っていました。
洗濯機や割烹着が昭和風ですが、古臭い感じはまったくありません。
(関係ありませんが裏を見たら定価が580円でした。30年前の値段ですが安い!)

あらすじ

『ぐるんぱのようちえんぐるんぱのようちえん』は、ひとりぼっちのなきむしのぞう・ぐるんぱが、ジャングルを追いだされるようにして働きに出るところからはじまります。
ぐるんぱはビスケット屋、陶芸家、靴職人など、いろいろな仕事にチャレンジしますがどれも大きくつくりすぎてうまくいかず、すぐクビになってしまいます。
そのたびにぐるんぱは落ち込みますが、決してあきらめず、新たな仕事にチャレンジします。
そして最後に、人に頼まれて子どもたちの面倒をみるですが、これが今まで経験したすべてのことが役立ち、みんなから喜ばれる楽しい幼稚園をつくるというストーリーです。

大人も感動して勇気づけられるストーリー

この物語を子供のころ読んだとき、ぐるんぱが大きいビスケットをつくったり、幼稚園で遊んだりするシーンがとても好きでした。
また、ビスケット、お皿、靴、ピアノ、クルマ……とぐるんぱがつくった大きすぎる失敗作が重なっていく絵がとても魅力的で、なんどもなんども読んだ記憶があります。


そして、大人になって、ぐるんぱの素晴しさを再発見しました。
もし、過去の自分に会えるとしたら「『ぐるんぱのようちえん』を読んでみて!」と言いたい時期がどれだけあったことか。
なにかがうまくいかないとき、なにをすべきかわからないとき、夢をあきらめたとき、自分に自信がないとき、ぐるんぱは生きるヒントと勇気を与えてくれます。

ホウバイシ(ライター・絵本作家)