これから絵本をつくる人におすすめしたい名作絵本『どろぼうがっこう』

半世紀以上、たくさんの人の心をつかんでやまない絵本作家・加古里子(かこさとし)さん。
『からすのパンやさん』や『だるまちゃんとかみなりちゃん』を小さいころに読んで、心をつかまれた記憶があります。
そんな加古里子さんの衝撃的な一冊を、先日発見してしまいました。
それが『どろぼうがっこう』です。

****加古里子さんとは?****

まず、加古さんについてご存じないかたのために、簡単なプロフィールをご紹介します。
加古里子さんは、1926年生まれ、福井県出身の絵本作家・児童文学者です。
『だるまちゃんシリーズ』や『からすのパンやさん』とその続編などが有名です。
昨年、1966年に出版された『かわ』が絵巻物風にリニューアルされ刊行されたのをご存じのかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
90歳の今もなお、お元気でご活躍なさっています。
憧れます。

****衝撃の絵本『どろぼうがっこう』****

この作品かなり有名らしく、続編まで出ているのですが、恥ずかしながら筆者は先日初めて読みました。

「わー、こんなのあったんだ。なんか気になるなー」
程度の意気込みで表紙をめくりました。
加古作品を読んだことのあるかたならご存じと思いますが、絵がまたすてき。
見ているだけでわくわくする、加古ワールドに引き込まれていきました。
ところがそのストーリーが衝撃的なのです。
ちょっとだけあらすじをご紹介します。

学校に通ってくる「かわいい生徒たち」は、立派な泥棒になるために、宿題に泥棒をしてきますが、うまくいきません。
「かわいい生徒たち」を立派に育て上げるため、先生は夜の遠足を決行します。
はたしてその結末は……?

****大人にこそ読んで欲しい****

加古さんに失礼を承知で申し上げます。

「これ、絶対大人が読んだほうがおもしろいのでは!?」

もちろん子どもも楽しく読めると思います。
でも、大人だからこそ楽しめるちょっとブラックなユーモアが満載で、ページをめくるごとに笑いを禁じえませんでした。
ほんとうにおもしろい。
一緒にいた友人も「これ、ヤバいね!」と、即日二人そろって加古さんのファンになりました。
(友人にとって『どろぼうがっこう』が初・加古里子絵本だったらしく、棚にあったほかの加古作品をそのあと片っ端から二人で読みました。)

大人になってからの絵本との出会いは、子どものころとはまた違った新鮮なものです。
『どろぼうがっこう』との出会いで、「加古里子さんの絵本読破するぞ!」と心に決めた筆者でした。

 

ホウバイシ(絵本作家・ライター)