これから絵本をつくる人におすすめしたい名作絵本『パパのカノジョは』

先日、3月27日にオープンする荒川区立図書館のイメージ映像作成のため、エキストラとして駆り出され、京成本線・町屋駅が最寄りの「ゆいの森あらかわ」まで行ってきました。
エキストラ=その他大勢、なので、撮影に参加したのはほんの一瞬。
ほとんどが待機時間だったので、その間絵本を読み漁って過ごしていました。

この図書館のすばらしさは、また別の記事でたっぷりとご紹介しようと思いますが、そこで感動的な1冊の絵本に出会ったので、ご紹介したいと思います。

 その名も『パパのカノジョは』

タイトルから推察できるように、離婚か死別かは不明ですが、この家庭にお母さんはいません。
父子家庭の子どもの視点でストーリーが展開されていきます。

 

****あらすじ****

主人公の女の子はパパと二人暮らし。
どうも、「パパ」は今までになん人も「カノジョ」を連れてきている模様。
そして、女の子はそんな「パパのカノジョたち」を厳しい目で見ている様子がうかがえます。
そんな中、新しく来た「カノジョ」は、趣味も合わず、かっこ悪いカノジョ、と女の子の目には映るのです。

でも、今までの「カノジョ」のなかでいちばん長続きしている。
なぜでしょうか?

一見ドキッとしてしまうタイトルにつられページをめくると、ただエピソードが並べられているだけのシンプルな文章なのに、女の子と「パパの新しいカノジョ」の心がどんどん寄り添っていくのが伝わってきました。
後半は、目をウルウルさせながら読み進めるしかありませんでした。
読み終えたときには心がほっこり温まる作品です。

 

****作者のジャニス・レヴィについて****

アメリカのニューヨーク在住の作家で、大人向けの本や絵本を数多く手がけているようです。

英語とスペイン語の教師でもあり、『パパのカノジョは』に登場する「パパの新しいカノジョ」も、英語やスペイン語、日本語まで話してしまうところを見ると、もしかしたらご本人がモデルなのかもしれませんね。

日本語訳されている作品は、調べたところほかにはちょっと見当たりませんでしたが、ほかの作品も読んでみたくなりました。

 

****画家のクリス・モンローについて****

詳しいプロフィールなどはわからなかったのですが、鮮やかな色彩と、豊かな表情の魅力的な絵です。
『パパのカノジョは』以外に、日本語訳されている絵本で『チコ・ボンボンとすてきなどうぐベルト』があります。

 

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寄り添っていく女の子と「パパの新しいカノジョ」のふたつの目線から、読者が共感できる作品だと思います。
どちらかというと子どもに読んであげたいというよりも、大人向けの絵本かな、という印象でした。
すてきな恋をしたいなら、「パパの新しいカノジョ」をお手本にするといいかもしれません。

ホウバイシ(絵本作家・ライター)