
日本の女性絵本作家、キャラクター作家、フォトエッセイスト、イラストエッセイスト、出版プロデューサー。
1998年10月、サンクチュアリ出版(現・サンクチュアリ・パブリッシング)に入社。書店営業業務の傍ら書籍製作に取り組み、2000年5月、独自の発想を軸にHAPPY10倍プロジェクトを立ち上げる。2000年11月、自著『しゃらしゃらDays』を皮切りに女性向け書籍「HAPPY 10倍シリーズ」をスタートさせ、その後、同社にて女性向けの書籍および自著の出版を行う。 同社の取締役副社長を経て、絵本作家・キャラクター作家・出版企画プロデューサー・エディトリアルデザイナーとして活躍後、東京クリエイターアカデミー(現WCC)を立ち上げる。 作家活動、キャラクター個展の開催、アーティストや企業のブランディング等も手掛ける。
主な著書
『しゃらしゃらDays』絵と文:松本えつを
『バンザイ』絵と文:松本えつを
『へこみさん―わたしがわたしになるまでの、ちいさなしあわせ物語』絵と文:松本えつを
『ぼさぼさ』絵と文:松本えつを
『らんまる Only One』文:松本えつを 写真:阿部章仁
『Dear Girl』監修:SANCTUARY BOOKS 写真:野村大志 文:松本えつを
『おめでとう、1歳。0→1(ゼロワン)』絵と文:松本えつを
『Girls-Be・・・-YA心の友だちシリーズ』絵と文:松本えつを
『空とぶ化学者とバウムクーヘン』文:松本えつを 絵:桂みき
『空とぶ化学者とチョコレート』文:松本えつを 絵:あしたゆう
『空とぶ化学者とベリー』文:松本えつを 絵:ささはらけいこ
『美しくなる人生。』原作:徳田充孝 作:松本えつを 監修:板垣しゅん
『OMOIYARIのえほん 世界を幸せにする魔法』作:藤田恵美 絵:松本えつを
『ユメカナバイブル Girl’s Dream Bible』作:松本えつを
ようこそ、ここからはじまるあなたへ ――入学前のあなたに、松本えつをから伝えたいこと――
For You, About to Begin — From Etsuwo Matsumoto With Hope

はじめまして、松本えつをです。
この文章を読んでくれているということは、きっとあなたは「絵本の学校」に少しでも関心を持ってくれているのだと思います。
ありがとうございます。
もしかすると今、「やってみたいけど、自信がない」と思っているかもしれませんね。
「わたしなんかが行っていいのかな」「絵なんてずっと描いてないし」「文章もヘタだし」……。
でも、そんなふうに思うあなたにこそ、わたしは伝えたいんです。
あなたが今感じている“もやもや”とか、“不安”とか、“やってみたいけど怖い”という感情こそが、創作の芽だということを。
だって、絵本って、“なにかを伝えたい”という気持ちがないと、生まれないから。
***
わたしは14歳のときに、「本をつくる人になる」と決めました。
まわりの大人たちが、あんまり楽しそうに働いていなかったからです。
「大人になったら、自分の好きなことで生きていきたい」と思いました。
そのためにはどうしたらいいかを考えて、考えて、考えて…… “夢を叶える神さま”がいると仮定して、「じゃあわたしは“できない人”になろう」と思ったんです。
つまり、「本をつくる以外、なにもできない人」になれば、神さまが夢を叶えてくれるだろう、って(笑)。
……中2でそんな思考してたなんて、まあまあ変わってますね。
でも、そのときから、わたしは“選ぶ”ことをしてきました。
夢に近づく選択をして、それ以外は手放す。
そうやって、自分の人生を自分でつくってきた感覚があります。
もちろん、順風満帆ではありませんでした。
出版関係の仕事に就いて数ヶ月後に大きな失敗をして辞めたこともあります。
牛乳配達をして、先輩たちのようにうまく配れなくて落ち込んだこともあるし、出版社で出版企画が10回連続ボツになったこともあります。
でも、「やっぱりつくることが好き」という気持ちは、何度もわたしを引き戻してくれました。
だから今度は、あなたを引き戻す側でありたいと思っています。
***
「絵本の学校」には、いろんな人が来ます。
大学生。 仕事をしながら通う社会人。育休中のママ。
子育てがひと段落して“自分の時間”を持てるようになった中高年の方。
そして、ただ「絵本が好き」という気持ちだけを持ってくる人。
みんな共通しているのは、「わたしにもできるかな?」というドキドキを抱えていること。
でも、それでいいんです。
むしろ、最初から「わたし、天才なんで!」という人のほうが、あまり伸びないかもしれません(笑)。
わたしが大切にしているのは、技術以上に“思い”。
言葉を選ぶときの丁寧さ。絵を描くときの迷い。転んだ経験。彷徨った過去。
もちろん、知識や技術を身につけることはとっても大事ですが、それだけに走ってもなかなかうまくいかない。
知識や技術を身につけると共に、“手を動かしながら心も動いている”状態こそ、いい作品が生まれると信じています。
そして、そのためには「一緒に悩む仲間」が必要です。
***
「絵本の学校」は、ただノウハウを教える場所ではありません。
一緒に悩みながら、“あなたにしか描けない物語”を見つける場所です。
ときどき、自分の作品を見て泣いてしまう生徒がいます。
それは、「ああ、これ、ずっと描きたかったんだ」って気づく瞬間だから。
そんな場面を、わたしは何度も見てきました。
だから、安心して飛び込んできてください。
あなたの“言葉にならない気持ち”も、“描けないと思っていた線”も、ちゃんと作品になります。
それを、わたしたち講師や仲間たちと一緒にカタチにしていきましょう。
***
最後にひとつだけ、お伝えしておきたいこと。
この学校では、「正解」は教えません。
でも、あなたが“あなたらしく生きるためのヒント”は、たくさん転がっています。
わたし自身、まだまだ挑戦の途中です。
でもだからこそ、一緒に走れることがうれしいんです。
ここから、なにかがはじまる人のそばにいられることを、楽しみにしています。
教室で会える日を、心からお待ちしています。
松本えつを